理事長所信 

公益社団法人 今治青年会議所
第61代理事長 渡邉 亮太

~はじめに~
 グローバル化が進展する一方、先進国を中心とした保護主義の台頭により、世界経済は分断の様相を強め、地域経済や私たちの暮らしにも不安が及んでいます。加えて、少子高齢化の進行や人口減少による担い手不足、環境問題、価値観の多様化、デジタル化の加速といった大きな変化は、私たちの地域社会や企業活動にも複雑な課題を突きつけています。
 こうした時代の転換期において、地域に根ざした課題解決への取り組みと、次世代を見据えた地域社会づくりをリードする役割は、今まで以上に強く求められています。多様な価値観をただ受け入れるのではなく、地域や社会の持続可能性に資する価値観を見極め、自ら成長を遂げる中で、未来を切り開く力を育むことが重要です。変化を恐れず、地域に新しい価値を創造し、持続可能な地域社会の実現に向けて果敢に一歩踏み出しましょう。

~規律性と柔軟性を併せ持つ、地域に信頼される組織へ~
 社会課題に正面から向き合い、変革を起こすには組織としての「強さ」が必要です。では、強い組織とはどのような組織でしょうか。組織はルールによって成り立っています。一人ひとりが好き勝手に動いていては、組織の秩序は保たれません。規律ある運営があってこそ、個々の力が結集し、組織として成すべきことを達成できるのです。しかし、変化の激しい時代に対応するには、柔軟な組織運営も必要です。会員が一堂に会する例会では、規律を基盤に厳粛な運営行いながらも、時代の変化に応じた柔軟な対応を模索し、会員の意識向上と一体感の醸成を図ることが重要です。このような普段からの取り組みが、組織としての「強さ」につながると考えます。
 そして、組織としての存在意義を高めるためには、日々の活動を俯瞰し、振り返り、地域に対して私たちの取り組みを積極的に発信していくことが必要です。地域の信頼獲得は情報発信から始まります。広報活動を通じて地域との信頼関係を深め、地域の未来を共に創る組織であり続けましょう。

~未来を創る運動の拡大~
 持続的な地域発展を目指すJC運動の根幹は、会員一人ひとりの意識変革にあります。会員がいなくなれば組織が成り立たないのは言うまでもありませんが、会員拡大の目的は組織の存続そのものではなく、JC運動を力強く展開していくことにあります。
 まず、私たちに必要な活動は共感の輪を拡げることです。私たちは、地域の未来を共に創る仲間を求めていますが、なぜ仲間を必要としているのか自ら問い直し、その思いや活動の意義を語ることが重要です。言葉だけでなく、具体的な活動や挑戦、自分たちの姿勢を示すことで、仲間を引き寄せる力が生まれると考えます。
 そして、会員数を増やすことにとどまらず、拡大運動の本質を見つめ、真の同志を増やすことが必要です。「数は力」とは言いますが、新たな仲間を単なる「人数」とせず、共に未来に向けて挑戦する「同志」に導き、人数以上の大きな力を生み出すことこそが、JC運動の根幹をなす意識変革であり、拡大運動の本質であると考えます。新たな仲間の内なる志を発掘し、一つにすることで、未来を創る運動を拡げていきましょう。

~変わりゆく価値観への挑戦~
 地域にとって今必要なものは何でしょうか。かつては物質的な豊かさこそが幸福の象徴でしたが、今では精神的な豊かさや人と人とのつながりなど、目に見えないものが重視される時代へと移り変わりつつあります。これは、経済成長はもちろんのこと、物流網や情報通信技術の発達により、物質的な面で十分に満たされる社会が到来したからにほかなりません。こうした社会の変化は、地方にも新たな可能性をもたらしています。物質的な豊かさを地方でも享受できる現在、地域の持続可能性を左右するのは精神的な豊かさです。いかにそれを育めるかが、これからの地域づくりのポイントになると考えます。精神的な豊かさは、地域の絆や人と人とのつながり、そして、自然環境や文化・歴史とも深く結びついています。
 私たちの住み暮らす今治は、豊かな自然や歴史、料理など、「今治らしさ」と呼べる多くの魅力を有しています。これらを単なる観光資源にとどめず、地域に住む人々にとって心の充実をもたらす価値としていくことが必要です。独自の視点で地域を深く掘り下げ、今治ならではの心の豊かさを見つめ直し、新たな価値観への挑戦をしていきましょう。その挑戦が、地域の誇りを育み、郷土愛を醸成し、持続可能な地域への一歩になると確信しています。


~想いをつなぐ、躍動の契機~
 今治青年会議所は、1966年の創立以来、地域の課題に果敢に向き合い、地域社会の発展を目指して運動を展開してきました。創立60周年という節目を迎える本年、地域を想い挑戦を重ねてこられた先輩諸氏の歩みに、改めて深い敬意と感謝を心に刻むとともに、活動にご理解とご協力いただきました地域や関係諸団体に、改めて感謝の意を表しましょう。そして、この機会にこれまでの歴史を振り返るとともに、JC運動の意義を見つめ直すことも大切です。それこそが、志を受け継ぎ、想いをつなぐ、未来に向けた新たな挑戦へとつながるでしょう。

~おわりに~
 JC運動は、単なる地域貢献活動ではありません。地域の発展を考え、仲間と共に試行錯誤を重ね、自分自身を磨く中で得られる充実感は、人生そのものを豊かにしてくれます。 青年会議所での経験は、仕事や家庭、地域社会においても揺るぎない自信となり、かけがえのない財産となるでしょう。そして、この私たちの自己変革が組織の変革につながり、さらには、企業や地域の発展につながります。
 青年経済人たる私たちには、世界の動きや地域の現状を正確に見極め、地域経済や社会基盤を揺るがすリスクに備えるとともに、変革をリードできる人材として成長していく責任があります。今、私たちに必要なのは、未来志向で物事を考え、積極果敢に挑戦することです。絶えず、「未来を創る挑戦を」実践し続けましょう。